東海大山形は延長13回、5-4で第3シード山形学院にサヨナラ勝ちし、2年連続29度目の8強に駒を進めた。

延長12回に勝ち越されたが、タイブレークに持ち込み、13回裏1死一、二塁から1番・米山颯主将(3年)の右翼前適時打で勝負を決めた。

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東海大山形が三塁側スタンドを埋め尽くした約950人の全校応援の前で3時間34分の激戦を制した。割れんばかりの声援の中、小躍りしながら仲間たちに迎えられた米山主将は「人生最初のタイブレークでワクワクした気持ちもあった。外角低めのボール球。エンドランだったので何とか当てることができた」と殊勲のサヨナラ打を振り返った。

就任19年目の武田宅矢監督(41)も、前監督で東海大の先輩になる山形学院・滝公男監督(63)との同門対決を制した。01年まで22年間で夏6度、春2度の甲子園に導いた名将からチームを引き継いだ武田監督は「滝先生が築かれてきたところ(チーム)なので、ある意味で伝統を守ることができた」と敬意を表した。

選手たちは「3つA」(慌てない。焦らない。諦めない)を実践した。2年前の練習試合で当時、仙台育英を指揮していた佐々木順一朗監督(59=福島・学法石川監督)から教えられた試合の心得。2度追いつかれても慌てず、延長12回表に勝ち越されても焦らず、最後まで諦めず、勝利をもぎ取った。

タイブレークの練習は1度もしたことがなかった。米山主将は「送りバントや2アウト3塁など、1点を取るための実戦練習が生きた」と胸を張った。3番・鈴木颯太内野手(3年)も初回から3打席連続安打。延長突入後は2打席連続犠打も決め、遊撃守備では12回表、内野ゴロで突っ込み、畑中悠哉三塁手(2年)と交錯する闘志も見せた。背番号20番で身長158センチの三塁コーチ新井公陽(3年)も8回裏1死、代打できっちりと送りバントを決めた。

チーム一丸でつかんだ夏通算127勝目。21日は11年ぶりの4強進出をかけて酒田南と戦う。甲子園からは95年(平7)から遠ざかっている。武田監督は「令和元年に勝てれば」と名門復活を期す。【佐々木雄高】