春夏通算51度の甲子園出場を誇る天理が、準々決勝で敗退した。

6回までに最大8点差をつけられる苦しい展開が続いた。そんな重たい空気を変えたのは主将北野樹捕手(3年)のバット。6回先頭の打席に立った主将の左前打を皮切りに、連打で3点を返した。続く7回にも7番川端考希外野手(3年)のこの日2本目となる3ランで2点差まで追い上げる。

しかし反撃も届かず、あと1歩のところで屈した。中村良二監督(51)は「天理の十八番の打ち合いで負けたのでしかたない。大和広陵が上でした」と相手をたたえた。

右肩痛の影響で本職の捕手ではなく一塁からチームを鼓舞してきた主将は6回表終了後に捕手出場を指揮官に直訴。「自分の肩はどうなってもいいから悔いを残したくない」。熱い気持ちでチームを最後まで引っ張り続けた。

「悔しい気持ちもあるがやりきった」。力強く語る主将の表情はどこか晴れやかだった。【山崎健太】