「高校四天王」の一角、西純矢投手(3年)を擁する創志学園が、準決勝で姿を消した。

今大会5試合連続で「4番・投手」で先発出場。5回まで5安打されながらも無失点。ネット裏にはNPBスカウト7球団が視察。直球の走りが良く、コンスタントに140キロ台後半をマーク。スカウト陣も「(大会を通して)一番いい」と投球を絶賛。試合中盤には、自己最速を1キロ更新する154キロをマークした。

6回、先頭に左前安打を許し、犠打などで1死二、三塁とされ、タッチアップで1点を奪われた。気温30度を超える炎天下での投球となり、体力の消耗もあってか、西は「腕が振れなくなってしまった」。7回にも1死から連打などで2点目を奪われた。

打線は5安打無得点に終わり、長澤宏行監督(66)は「(西の)出来は良かった。点が取れなくてかわいそう。相手はいい攻めをしていた」とエースをねぎらった。西は8回を投げ10安打2失点。10奪三振も、倉敷商打線の粘りに及ばなかった。

課題とされていた精神面の成長を随所に見せていた。昨夏の甲子園では、何度も派手なガッツポーズを行い注意を受け、昨秋は仲間のミスや審判の判定に対し、不満の色を顔に出すこともあった。秋以降からメンタルトレーニングで精神面を強化。この日は3回、2死一塁で三塁手・冨田光哉内野手(2年)が失策し、一、三塁とピンチの場面をとなったが、自ら後輩に声をかけて励ました。ピンチの場面でも、笑顔で振る舞うなど成長した「大人の顔」を見せた。

涙は見せなかった。「最後自分で打たれて。高校野球やりきれたなと。悔いはありません」。時折笑顔を見せながら、気丈に振り返った。進路に関して「これから考えます」としたが、プロ志望届けを出す可能性が高いと見られる。

「高校四天王」は横浜・及川雅貴投手、大船渡・佐々木朗希投手(ともに3年)に続き西が敗退し、残るは星稜・奥川恭伸投手(3年)1人のみとなった。

<創志学園・西純矢投手(3年)今夏の全登板>

◆1回戦(13日)岡山南戦7回 5安打 2失点 10奪三振 6四球 最速150キロ

◆2回戦(21日)倉敷南戦4回 1安打 無失点 7奪三振 無四球 最速148キロ

◆3回戦(23日)倉敷古城池戦 6回 3安打 無失点 7奪三振 無四球 最速148キロ

◆準々決勝(25日)岡山東商戦 9回 6安打 1失点 12奪三振 3死球 最速149キロ