小松大谷が14年以来、5年ぶりの決勝切符を勝ち取った。星稜と甲子園をかけた因縁の再戦になる。

雨中の戦いは、初回、中盤、終盤と着実に加点。津幡の好投手、松田大輝(3年)から10点を奪った。西野貴裕監督(44)は「最後まで集中力を切らさずやり切れた」とうなずいた。

前回決勝に進んだのは14年夏。8-0の大量リードで9回裏を迎えたが、まさかの9失点で逆転サヨナラ負けで、甲子園を逃した。悲劇と呼ばれ話題になった。西野監督は「あの試合を勉強材料にしてきました。当時の子らには思いがあるけど、今の子は関係ない。しっかり力を発揮させてあげたい」と平常心で臨むことを強調した。

屈辱的な敗戦が出発点にもなっている。チームのテーマは「27のアウトをどう取るか」。大逆転負けを伝える新聞をグラウンドのベンチに置いて、記憶を伝え続けている。主将の溜田幸士朗内野手(3年)は兵庫県加古川市の出身。あの試合後、小松大谷の練習を見に行き、野球に取り組む姿に心を動かされ同校を選んだという。

「1回戦から最後のアウトを取るまで気持ちを切らさずやってきた。先輩たちの思いも背負って戦います。世の中の人は絶対に星稜が勝つと思っているでしょうが、ぎゃふんと言わせるぞと、新チームからやってきた」。

敗戦のドラマには続きがあった。1年後の15年準々決勝。今度は0-3から9回に4点奪って逆転サヨナラ返しした。劇的に前年のリベンジに成功した。

ただ、その後は5連敗中。昨夏は準々決勝で0封負け。2番手だった奥川を打てなかった。今春も2-6だった。主将は「逆転勝ちができるかは分かりませんが、初回からしっかり打っていきたい。練習してきたので自信はあります」と意気込んだ。

◆14年夏VTR 石川大会決勝の星稜-小松大谷。星稜はエース岩下(現ロッテ)が2回6失点と乱調で、打線も8回までわずか2安打。だが0-8の9回裏、代打攻勢などで2点を返して反撃開始。小松大谷は山下から木村に投手交代したが、星稜は無死二、三塁から6番・梁瀬の2点適時打、7番・岩下の2ランで6-8。1死一、三塁から遊ゴロの間に1点を挙げ、2死一、二塁から村上の適時打でついに同点。最後は5番・佐竹が適時打で9-8とサヨナラ勝ちした。