4連覇! 前橋育英(群馬)が3-0で前橋商を破り、4年連続5度目の夏の甲子園出場を決めた。前橋育英の誇る1、2、3番の左打者トリオが、プロ注目の左腕、前橋商・井上温大投手(3年)から計6安打を放って攻略。投げてはエース梶塚彪雅(ひょうが)投手(3年)が3安打完封した。初出場初優勝を果たした2013年以来6年ぶりの全国制覇へ。盤石の態勢で聖地・甲子園に乗り込む。

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危なげなかった。昨秋、今春の群馬県大会を制した王者・前橋育英が、相手に付け入る隙を許すことなく4年連続で夏を制した。「試合を重ねるごとに選手が成長してくれた。自分で考える力、気付く力がついたと思います」。荒井直樹監督(54)の表情に、充実感がにじんでいた。

1~3番の左打者トリオがプロ注目の左腕、井上を攻略した。主将の1番・丸山大河外野手(3年)が2安打、2番・森脇真聡内野手(3年)が3安打1打点、3番・剣持京右内野手(3年)が1安打1打点。左打者にはチェンジアップを封印する井上の配球を読み、直球、スライダーを狙い打ちした。

「カウントを取りにくる球を狙っていた。各自が狙いを持って打席に入っていた」と丸山は胸を張る。

森脇は自分の考えで、打席の立ち位置を変えていた。通常はバッターボックスの最後方に構えるが、この日は最も投手寄りに。「直球を意識しつつスライダーの曲がり始めをとらえるイメージでした」。最初の2安打はスライダーを仕留め、7回は直球を左翼線適時二塁打。ダメ押しの3点目をもたらした。

森脇は新チーム結成後、主に4番を打っていたスラッガー。「森脇が2番に入って、チャンスで回ってくることが多い。あの打席は気持ちで打った」。5回1死一、二塁で2点目の中前適時打を放った剣持は相乗効果を口にする。

監督が必要以上に選手に指示を与えることはない。各自が考え、実践できるところが前橋育英の強みだ。「私たちは材料は与えますが、実際にやるのは選手」と荒井監督。選手に全幅の信頼を置く指揮官。そして、それに応える選手たち。6年ぶり全国制覇へ。機は熟した。【片倉尚文】

▽須永武志捕手(1回に先制の左前適時打)「直球を狙っていた。いいところに飛んでくれた」

▽山田祥内野手(準決勝に続いて先発出場)「緊張して打てなかったけど、勝ててよかった」

▽中村太陽内野手(守備の要として活躍)「最高です。このチームで1日でも長くプレーしたい」

▽四十山(あいやま)捷斗外野手(大会直前にベンチ入り)「ベンチに入れなかった人の分まで頑張った。報われました」

▽川原大和外野手(背番号18も全試合に先発)「去年からけがが続いたけど諦めずにやってきてよかった」

◆前橋育英 1963年(昭38)創立の私立校。野球部は翌64年に創部。生徒数1724人(女子1014人)。部員80人。甲子園出場は春2度、夏は4年連続5度目。主なOBは西武高橋光成、オリックス神戸文也。所在地は前橋市朝日が丘町13。山田耕介校長。