鹿児島から“田中伝説”が誕生した。神村学園は、田中姓3選手の活躍で2年ぶり5回目の夏の甲子園切符をつかんだ。同点打、勝ち越し弾にダメ押し弾。さらに3失点で完投した投手まで田中姓。前回出場時も田中姓の選手がいた。「田中姓がいるときに甲子園に行く印象がある。なぜかは分かりません」。小田大介監督(36)も笑ってしまうほど強烈な印象を刻み込んだ。

1点をリードされた4回が伝説の幕開けだ。1死三塁から、田中大陸外野手(りく、2年)が同点左前適時打を放つと、2死一塁からは田中天馬内野手(3年)が左翼フェンス越えの2ランで勝ち越した。徳之島出身の大陸は「ここで点を取らないと厳しいと思った」と話せば、天馬は「弾道が低いのでどうかと思ったけど、入って良かった」と喜んだ。

仕上げはエース田中瞬太朗投手(2年)だった。5回無死から放った右越えの会心のソロは、貴重な1発となった。「入るとは思わなかったので、びっくりした」と思わぬ1発に満面の笑み。勢いに乗って投球でも3失点で完投した。「監督も自分を信用してくれている。ピンチの時はギアを上げた」と力こぶだ。

天馬と瞬太朗は中学時代、同じ神戸中央シニアの1学年違い。ピンチで真っ先にマウンドに駆け寄ったのは天馬だった。「ピンチのときは自分から声をかけようと思っています」。先輩の期待に、瞬太朗は応えた。「9回まで疲労を感じなかった」と感謝。信頼関係を味方に、大舞台でも伝説は続きそうだ。【中牟田康】