駿河総合が、昨夏準優勝の島田商を7-4で退け、初の甲子園出場へ王手をかけた。初回に先制を許したが、直後に5得点で逆転。4回裏には、2死一、二塁で5番坂口慧(あきら)内野手(3年)が、中堅越えの適時二塁打で2点を追加。粘る名門校を振り切った。

   ◇   ◇   ◇

駿河総合打線が、この日も火を噴いた。1点を追う1回裏、制球に苦しむ島田商の先発・小林史弥投手(3年)を捉えて4安打を集中。打者一巡の攻勢で5点を奪い、逆転に成功した。5-2の4回にも2点を追加。終わってみれば今大会3試合連続、通算4度目の2桁安打となる14安打で相手を圧倒した。

打線をけん引したのは、5番坂口と1番に座る安本敬外野手(3年)だ。この日4安打を放った2人は、春季大会まで主砲・紅林弘太郎内野手(3年)とともにクリーンアップに座っていた。だが、大会直前の6月下旬から、5番を打っていた安本が1番に。「自分がチームに勢いをつけるつもりで打席に入っている。けっこう楽しめてます」と話す通り、この試合でも初回先頭で右前打。逆転劇の口火を切った。

坂口は3番から5番へ。4番紅林へつなぐ役回りから、ポイントゲッターへと仕事が変わった。野球を始めた小学5年時から続ける、常葉大橘OB・父弘司さん(46)とのティー打撃練習が実を結び、今大会6試合で6打点。躍進を続けるチームの中心的存在となっている。

残すはあと1試合。聖地へ向け、静高という最大の敵が待ち受ける。今大会ノーアーチで、この日無安打3四球の紅林に期待がかかるが、坂口は「緊張して振れていないんだと思う。絶対に弱音を吐かないやつなので最後はやってくれると思う。それまで自分たちが打って支えていきたい」と力を込めた。互いに助け合いながらつかんだ初決勝。大一番でもフルスイングを貫き、頂点の座に立ってみせる。【河合萌彦】

◆駿河総合高校 2013年(平25)に静岡市商と静岡南の統廃合で設立された県立校。静岡市内では初めて総合学科が設置され、人文社会や自然科学など、6つの系列から科目を選べる。野球部は同年創部で、現在の部員数は46人。主なOBは、ソフトバンク杉山一樹、J1清水FW北川航也。校歌は、作詞した静岡市出身の歌人田中章義氏の依頼で、ロックバンド・爆風スランプのサンプラザ中野くんが作曲した。情報サイトによると、今年5月現在の生徒数は男子327人、女子499人。大庭弘義校長。所在地は静岡市駿河区有東。