<全国高校野球選手権:明石商7-6八戸学院光星>◇18日◇準々決勝

1球が、1つのプレーが勝負を分ける。令和となって最初の夏。熱い戦いのワンシーンを「ヨネちゃんの『プレー』バック」と題して切り取った。

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八戸学院光星が同点を狙った「仕掛け」は、ディレードスチールだった。8回2死一、三塁。一塁走者の大江拓輝外野手(3年)が一瞬の間をとって走った。「捕手が二塁に送球してくれば、三塁走者がスタートするはずだったんです」。大江が振り返った。

明石商二塁手の守備位置が深かった。捕手の送球をカットできない。遊撃手が捕れば、捕球も本塁送球も遅れる。三塁走者のスタートは見づらい。そんな計算があった。しかし、明石商は冷静だった。河野光輝遊撃手(3年)が「想定通りでした。あの練習はいつもやっています」と話した。

水上桂捕手(3年)は、三塁走者の近藤遼一内野手(3年)をにらんでけん制し、二塁に送球した。受けた河野も三塁を見てから一塁に転送し、挟まれようとした大江を刺した。河野は「一塁走者を早く殺せば、三塁からの生還はないんで」。

近藤が「捕手の(送球した)ボールがよかった。自分の方を見られてスタートできなかった」と言えば、大江は「自分たちのミスです」。仕掛けを外されて、八戸学院光星の4強が逃げた。【米谷輝昭】