【機張(キジャン・韓国)3日】日本がスーパーラウンド進出を決めた。1次ラウンド最後のパナマ戦に6回途中降雨コールド勝ち。4勝1敗で通過した。

1-1の5回に主砲石川昂弥内野手(3年)が決勝の3ランを放ち、勝負を決めた。5日からのスーパーラウンドでは韓国などAグループの3強と戦う。

   ◇   ◇   ◇

白木のバットからはじかれた打球は、勢いよく左翼席に飛び込んだ。序盤から重苦しい展開だったが1-1の5回、主砲石川が勝ち越しの左越え3ランだ。「完璧でした。日本の4番として試合に出ているので、自分が打てば勢いが付く。東邦でもジャパンでも同じだなと」。スーパーラウンドに続く扉を開いた。

数分後、当初の予報通りに雨が強まり、6回途中で降雨コールドになった。前日の台湾戦は5回降雨コールドで反撃の機会を断たれた。この日は西が1失点で必死に粘っていた。永田裕治監督(55)は「昨日ああいう形で負けていた。早く点がほしかった。よく打ってくれた。4番に任せました」と絶賛した。

前日の敗戦後、仲井宗基ヘッドコーチ(49)のカツに続いて、永田監督から「15万人の高校球児の代表なんだ。気持ちのないやつはユニホームを脱いでいい」と言われた。いつもにぎやかな車内は静まりかえった。東邦の主将として苦労を重ね、センバツ優勝にたどり着いた石川も、言葉の意味を刻んだ。「日本代表としての気持ちが甘かった。全員が切り替えた」。

1次ラウンドはスペイン戦、米国戦で同点打。台湾戦も先制打と苦しい時はいつも石川が打ってきた。8月に10日間、JR東海で熊田と社会人の生きた球を打ち込んだ。バットの形状にも微調整を加えて万全で合流した。「結果を求められる中で結果を出せているのはいいこと。継続したい」と自信を示した。

1日だけの休養をはさみ、5日から8日の決勝までが勝負の4日間。韓国など新たな難敵が待ち受ける。「これからもこういう試合が続くと思う。簡単には打てない。流れが悪かったら、自分が打つ。自分が引っ張っていきます」。主砲の自覚を強める石川の存在が何より頼もしい。

▽日本・水上(6回に左越えソロ)「いつもよりバットを短く持った。先に点を取られて雰囲気が悪かったけど、石川の1発が大きかった」

◆石川昂弥(いしかわ・たかや)2001年(平13)6月22日生まれ。愛知県半田市出身。中学時代は愛知知多ボーイズに所属。東邦では1年春からベンチ入り。2年春のセンバツは4番三塁で出場。今春センバツでは習志野との決勝で2本塁打を放ち完封するなど、二刀流で平成最後の甲子園Vに貢献した。185センチ、87キロ。右投げ右打ち。