加茂暁星は中越を延長12回9-8で下し、48年ぶりの秋4強を決めた。4番の主将、佐藤健一塁手(2年)が延長12回に決勝の中前適時打を放った。中越は9回と11回に2度、2点差を追い付く脅威の粘りをみせたが、及ばなかった。準決勝は28日、三条パール金属スタジアムで行われる。

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風を味方につけた。8ー8の延長12回表1死一、三塁。主将の佐藤健の放った打球はセンター方向への飛球に。「しまった」と苦い表情で一塁へと走るも、ボールが風に押し戻されセンターと内野の間にポトリ。表情は笑顔へと変わった。

右中間方向からの風が試合途中から徐々に強くなり、試合終盤には常時風速6メートルを超えるようになっていた。自然現象のアシストを得た執念の一打を、「風のおかげです。粘って粘った甲斐がありました」と笑ってみせた。

2度リードするが2度追いつかれた。2点リードの9回裏に2失点し、延長に持ち込まれる。2点を勝ち越して迎えた延長11回裏の守り。1点差となったが2死三塁と勝利の目前だった。ここで簡単な内野ゴロを失策して同点。暗いムードが漂いかねない展開にも「中越は強い。簡単に勝てないことは分かっていたので、粘り強く行こうと励まし合っていた」と佐藤健。明るい雰囲気を保ち続けた結果の勝利だった。

猛練習の成果も出た。夏、猛暑で練習時間が限られる中でも、主将を中心にチーム全体で居残りの自主練習に取り組んできた。鍛えられた打力はこの日も威力を発揮し、中越の4投手から19安打を放ってみせた。試合後、スタンドに勝利報告した際、誰よりも長く応援席に頭を下げ続ける主将の佐藤健の姿があった。常にチームを引っ張る主将を高橋諒監督は「人間力のある選手」と評価する。

秋は71年以来、48年ぶりの4強入りを果たした。勝てば北信越の切符が得られる28日の準決勝は北越が相手。「好投手を擁するチームだが、なんとか打って勝ちたい」と佐藤健。強豪撃破の勢いそのままに次戦に臨む。【山岸章利】