智弁和歌山が兄弟校との負けられない戦いを落とした。近畿のセンバツ一般選考枠は6。ベスト8敗退によって微妙な状況に置かれた。

中谷仁監督(40)は「いやあ…誤算だらけでした。いや、想定でもあったというか」と切り出した。先発の矢田真那斗投手(2年)が初回2死から6連打を浴びて6失点。阪神などで捕手としてプレーした指揮官は「(矢田は)いい調子でゲームに入ったとは思うけど、大舞台の経験がないから浮き足だっていたのかも」と苦い表情をした。

その後は、打っては取られ、打たれては取り返しの激しい乱打戦。6回に徳丸天晴内野手(1年)の3ランで8-9まで詰めたが、すぐに5失点して突き放された。相手の強打に押し切られた。

主将の細川凌平外野手(2年)は「春に負けた悔しさもあるし、今日という日のために毎日練習してきた。勝てなくて悔しいです。自分たちが(本来)する野球ではなかった。守備からリズムを作るのが自分たちのパターンなのにそれが崩れてしまった。追い上げることはできたけど、それがよかったとは言えない」と唇をかんだ。

レギュラー遊撃手の大西拓磨内野手(1年)が大会直前に大腿(だいたい)骨を疲労骨折。急きょ内野のフォーメーションが変わった。この日は前チームからの主力で内野の要の綾原創太内野手(2年)は初回にイレギュラーバウンドを顔面に受けて救急車で運ばれた。エースの小林樹斗投手(2年)は調子が上がらず、大事な場面を任せられなかった。苦しい中でのやりくりを強いられた。

「自力」のセンバツ当確は打てず、6季連続の甲子園が見えにくい状況で冬を迎える。中谷監督は「これがチームの現状だと思う。力足らずです。僕の至らないところ。もう(選考を)待つしかない。選ばれても選ばれなくても、先を見据えてしっかりやりたい」と切り替えを図った。