甲子園は未経験でも、プロ注目の逸材は少なくない。最後の夏を信じ、将来の夢を描く選手を紹介する。

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強豪ひしめく埼玉に小さな巨人がいる。浦和実(埼玉)の豆田泰志投手(3年)は身長175センチで最速143キロ右腕ながら、直球で空振りを取る。球速以上に感じさせるノビのある直球が武器だ。昨夏の県大会4回戦では、浦和学院を相手に2安打完封。だが、秋季大会では初戦敗退。「夏の大会が終わって約1カ月投げなかったら、感覚を忘れてしまった」と反省した。

目標は日本ハム吉田輝星。体格や全身を使って投げる投球フォームが似ている。自分と同じ高校生だった、金足農時代の動画を繰り返し見て吸収する。「吉田さんは真っすぐが本当にきれい」と憧れる。オフ期間はできるだけ投げることに重きを置き、毎日キャッチボールに30分をかけた。甲子園を沸かせたスターのような球を投げるため、指にボールをかける意識を徹底的に染みつかせた。

高校最後の夏へ向け、直球の質や低めの制球力に磨きをかける。昨夏は4試合18イニングを投げて自責点0。「去年よりいいピッチングをしたい。自責0は続けて甲子園に行きたいです」と真っすぐ前を見つめて力強く語った。【湯本勝大】