コロナ禍の今年も8月の甲子園に球音が響く。センバツに出場予定だった32校が、日本高野連主催の公式戦として1試合ずつ戦うことが決まった。101回の夏の大会史をひもといても史上初のウルトラプランだ。日程は8月10~12、15~17日の6日間。ドラフト1位候補の明石商・中森俊介投手(3年)が登板すれば、全てが公式記録に残る。部活が本格的に再開していない高校もあるが、2カ月の準備期間を経て白熱の真剣勝負が展開されそうだ。

9回同点の場合は引き分け。だが、最後の試合は決着をつけるべきという意見もあり、延長やタイブレーク制の導入などを今後検討する。新型コロナウイルス感染防止を踏まえ、招待は1チーム30人。北海道と東北以外の学校は公共交通機関を使わず、貸し切りバスで甲子園に移動する。鹿児島城西などは長旅となるが、感染リスクを極力減らす策を練った。

ベンチ入りは通常の18人から20人に増員。より多くの選手が甲子園に立たせたいとの願いだ。甲子園で初めて、背番号19、20が、ドラマを演じる可能性が出てきた。原則無観客の方針だが、学校関係者の入場は新型コロナウイルスの感染状況の推移を見ながら検討する。入場料など大会の収入がないため、出場校の交通費など運営費は日本高野連の積立金を充当。テレビやネットでの試合中継は今後交渉する。小倉好正事務局長(62)は「可能な範囲でお願いしたい」と、全国に球児が頑張る姿を届けられるように調整を続ける。

7月18日にオンラインで抽選会を行う。試合日などは近隣校なら日帰りできるように第1試合を避ける。同時期に行われる各都道府県の独自大会と重ならないように調整も重ねていく。

八田英二会長(71)は「32校は全国の3年生の代表だと思って、精一杯プレーしていただきたい。これは日本高野連の挑戦」と表現した。新型コロナウイルスは終息していない。だがコロナと共存しながら甲子園で試合を行うことで、各地の秋季大会、そして来春のセンバツと通常開催へ向けた大きな一歩となる。【石橋隆雄】