県岐阜商の主将、佐々木泰内野手(3年)が大会第1号本塁打を放ち、聖地に足跡を残した。3点差の9回、明豊の太田が投じた高め直球を勢いよく振り抜いた。「なんとか1本出して、チームを勢いづけたかった」。打球は左中間スタンドへ一直線。敗れはしたが、高校通算41号は異例の夏で記憶に残る1本となった。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月から約3カ月、部活動が休止された。6月中旬に練習を再開したが、県岐阜商の教諭や生徒が新型コロナウイルスに感染し、岐阜県の独自大会を辞退することとなった。再び7月15日から2週間の自宅待機となり、同30日から全員が顔を合わせて練習をすることができた。

佐々木は自宅待機期間に岐阜県の独自大会をテレビで見ていた。「自分たちも出ているはずの大会でしたが、すぐに切り替えました。コロナにかかった方の気持ちを考えたら、つらいと思う。自分たちは大丈夫というのを伝えようと思って、甲子園に気持ちを向けました」。この夏は1試合しか戦えなかったが、あとは後輩たちに託す。「この1試合に懸ける思いは強かった。緊張して思ったようなプレーができなかったけれど、後輩がセンバツに出て優勝してくれれば、僕はそれでいいです」と力強く話した。【磯綾乃】