日刊スポーツ評論家が甲子園交流試合に出場する逸材をチェックする「プロ目線」では元阪神の桧山進次郎氏(51)が、大阪桐蔭・仲三河優太外野手(3年)を解説した。

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大阪桐蔭・仲三河君は代打の難しさを感じさせない素晴らしい打撃だった。7回に先頭で出て、初球、2球目で簡単に追い込まれました。変化球を頭に入れながらだと思いますが、真っすぐをガツンと打っている。代打の1打席で、なかなかあんな打ち方はできない。非凡さを感じましたね。

僕は、阪神での現役の終盤は代打で出場していました。自分と重ね合わせて考えても、仲三河君は冷静だなと映りましたね。2球でテンポ良く追い込まれて、打ちたい気持ちがはやる。まず頭をよぎるのは「3球三振は嫌だ」ということ。普通、焦りしかない。しかも、仲三河君は2球とも速球のストライク。打席で1度も変化球を見ていないから、不安が出るものです。

速球もキレがあったし、何とかついていかないと、と焦ってもおかしくない。すごく嫌な追い込まれ方なのに堂々と打った。バットの出方もいいから差し込まれても芯でとらえられる。心に余裕がありました。なかなか高校生にできない打撃。いいモノを見ました。

1回に先制の右前タイムリーを打った吉安君もいい打撃でした。カーブ系だと思いますが、ピタッと止まって最短でバットを出している。(右半身の)壁を崩さず、軸回転できている。西野君は体が大きいし、ホームランバッターを目指してほしい。右投げ右打ちですが、左手を鍛えればインサイドもさばけます。将来的に生きてくるでしょう。

東海大相模の3人は振りが速い。特に鵜沼君はいいです。スイングが鋭く、1回の三直は目を見張った。山村君は懐が深く、構えも穴がない。西川君は左翼守備を評価したいですね。4回のライナーは背走しながら体を切り返して捕った。焦ってもおかしくない場面でした。1回のフェンス直撃二塁打の処理は二塁までワンバウンド返球。肩もいいし、打撃だけでない、センスの高さを感じました。(日刊スポーツ評論家)