4年ぶり5度目の出場を決めた福岡大大濠エースの毛利海大投手(2年)は、感謝を胸に甲子園に立つ。

1学年先輩で、オリックスにドラフト1位で入団した山下舜平大投手とは、1月に山下が入寮するまで練習をともにしてきた。昨秋の九州大会前のことだった。「お前がしっかり投げて、甲子園に連れていけ」。昨夏は新型コロナウイルスの影響で甲子園大会は中止。夢の舞台に立てなかった無念の思いを、山下から託された。

昨秋の九州大会で毛利は、1回戦で大分商を相手に1失点完投。準々決勝では具志川商を完封した。「山下さんみたいに球速は出ないけど、それ以上に(相手が)キレを感じるところが持ち味だと思う」と自己分析する、最速140キロながら打者の手元で伸びる直球を武器に勝ち進んだ。「3年生の分まで頑張ってきて良かった。プレッシャーもあったけど、無事に決められて良かった」と胸を張った。

昨夏の大会中止が決まった後、福岡県高野連の監督有志で「福岡地区高校野球交流戦」を企画するなど、球児のために奔走してきた八木啓伸監督(43)も「この大会は3年生の気持ち、思いを必ず持っていかなければならない。3年生の分まで戦ってもらいたい」と選手たちに熱く伝えた。チームの目標は前回出場した17年春の8強超え、そして全国制覇。聖地でのプレーで恩返しする。【山本大地】