新たなステージで飛躍を誓った。昨夏の甲子園交流試合に出場した仙台育英(宮城)の卒業式が28日、多賀城市内の各教室で卒業証書授与のみ行われ、硬式野球部の3年生40人が巣立った。

自然と笑顔であふれた。引退して約半年。すっかり髪も伸び、整髪料で髪形を整えて、卒業証書を手にした。仲間と久しぶりの再会に、思い出話に花が咲いた。前主将の田中祥都内野手(3年)は「2カ月ぶりにみんなと会ったけど、やっぱり楽しい。話も止まらない」。春から立大に進み、東京6大学リーグでプレーする。「ベストナイン、首位打者が目標。野球を長く続けていきたい」。同期の楽天ドラフト5位入江大樹内野手(18)は刺激になる存在で、いつか同じ舞台に立つことを夢見る。

高校3年間は感謝の気持ちでいっぱいだ。昨春は出場を決めていたセンバツが中止となり、夏の甲子園も途絶え、激動の1年を経験した。「コロナで多くのことを失ったけど、苦しい道のりを仲間がいたから乗り越えられた。支えてくれた方々のおかげで、今日の卒業式がある」と感慨に浸った。

180センチ、80キロの大型野手、宮本拓実外野手(3年)は東北福祉大(仙台6大学)に進学する。系列の秀光中教校軟式野球部時代から須江航監督(37)の下で、6年間野球を学んだ。今も心に残る言葉は「他者の幸福のため」。宮本は「自分が打てなくても、仲間のヒットを一緒に喜べるのか。大学でも大事にしていきたい」と恩師の教えを心に刻んだ。【佐藤究】