最速148キロ右腕で天理のエース達孝太投手(3年)が今大会最多の164球を投げてチームの4強進出に貢献した。制球が定まらず、8回3失点と粘りの投球。「(自己採点は)0点です。8回3失点は全然よくない。自分のベストピッチは9回投げて無失点でヒット1本、四球1個。そこを目指したい。納得いかない投球でした」と話した。

1回、2者連続空振り三振の好発進直後に落とし穴があった。球が上ずり、制御できない。3四死球で満塁のピンチを招いた。遠藤を遊飛に仕留めて切り抜けたが、2回以降も本調子ではない。3回には八巻に右翼へ被弾するなど同点に追いつかれた。

「(前回からの)疲労は全然、なかった。今日の投球は良くなかった。自分のなかでうまくコントロールできなかった。球数はあまり気にせず、8回が終わるまで投げました」

不調だったが、打線が奮起した。4回にバッテリーを組む政所蒼太捕手(3年)が左前に勝ち越し2点タイムリーを放つなど、4点を加えて、再びリードを奪った。達は「実は4回まであまり気持ちが上がらず『ダメだ』と思って投げていた。4点とってもらって自分のなかで気持ちのスイッチを上げられた。4回から8回まで、気持ちで投げていた球です」と援護に感謝した。中盤は193センチの長身から投げ下ろす角度を生かして、速球も130キロ台に抑え、球威よりも制球重視。「ストライクを取りに行きました」と修正を図った。中村良二監督(52)も試合後に明かした。

「7回くらいから点差つけて、調子も悪いので『どうする?』と聞いたら、本人が『もう少し投げてみたい』と言ったのでエースの言うとおりにした方が球数より良いと思って、7、8回まで。あんな投球するんだって言うくらい良くなかった。(31日準決勝は)本人が中1日で『投げたい』と言うなら投げさせる。きついと言ったら回避する」

達は20日の宮崎商戦で161球完投勝利を挙げ、25日の高崎健康福祉大高崎戦を134球で完封した。3戦目は今大会最多の球数で奮闘。最速は146キロだったが、踏ん張り抜いた。