鹿児島大会が3日に開幕した。部員不足が続いた串木野は11人がそろい、夏の甲子園大会の出場を懸けた地方大会としては4年ぶりに単独チームで出場。コールド負けの“常連”が9回まで戦い、単独チームとしては17年大会以来の得点「1」を刻んだ。今夏のチームスローガン「打破」を地で行き、初戦敗退にも胸を張った。

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開幕試合で串木野は野球をできる喜びをかみしめ、躍動した。4点を追う4回2死一塁。4番・石原雅紳(かしん)内野手(3年)は「打って輝きたかった」と外角直球を捉え、左越えに適時二塁打を放った。この回に1年生の2番・肥前壱希(かずき)外野手がチーム初安打を放っており、自身も「流れに乗りたかった」と燃えていた。これが甲子園を懸けた夏の大会では、単独チームとして17年以来の得点となった。

1-7の7回。これ以上の失点によるコールド負けを阻止するため、「7番二塁」で先発した上新(うえしん)遼太郎主将(3年)が、2番手でマウンドに上がった。3四死球で招いた2死満塁をしのぐと、2イニングを無失点。9回の攻撃までつないだ。就任4年目の地頭所(じとうしょ)真人監督(27)は「今までならランナー一、二塁で連打を食らい大量失点で諦めていた」とこれまでにないたくましさをたたえた。

県大会は他部から「助っ人」を借り、昨秋が7回コールド、今春も5回コールドでともに1回戦負けだった。今夏は1年生3人が入部して助っ人を1人に抑えた11人の“純正チーム”で臨めた。チームは「大事な場面で結果を出せるように」と「打破」をスローガンに設定。地頭所監督は「人数は少ないが野球が好きで練習は一生懸命やっていた。9イニングまで戦い、生徒はすごいなと試合をしながら思った」と振り返った。

夏は昨年の独自大会を除いて連合チームでの出場が続いたが、単独チームでは17年以来の得点を刻んだ。試合に敗れても“殊勲打”の石原は「コールド負けせず、一番いい試合だった」と目いっぱい胸を張った。【菊川光一】