武庫荘総合・斉藤が真価発揮 元阪神谷村コーチ「どこまで伸びるか」/兵庫

兵庫大会で、武庫荘総合の最速149キロ右腕・斉藤汰直(たいち、3年)が、明石高専との夏初戦を4回2安打5奪三振の無失点で終えた。3回には3者連続3球三振を奪い、4番打者としても2安打3打点。5回コールド勝ちの立役者となった。

夏初戦の自己採点は、辛めだった。斉藤は「60点か、70点か…。立ち上がりが甘い。反省です」と不満げだ。初回、先頭打者に死球を与え、2死二塁から左前打を浴びて左翼手の好返球に救われた。ただ、プロ注目の真価はそこからだ。

2回は先頭を三塁手の失策で塁に出したが、併殺で切り抜ける。圧巻は3回。打者3人に3球ずつ投げ込み、あっという間の3連続奪三振で終えた。4回を39球、2安打5奪三振。「がむしゃらじゃなく、しっかり腕を振り、低めに伸びのある球を投げる。力加減は70%ほど。感覚的に142、143キロは出ている感じです」。ネット裏のスピードガンはこの日、145キロを記録した。

6月下旬、練習試合・市尼崎(兵庫)戦で149キロをマーク。自己最速を3キロ更新した。「左打者の外角へ、ベストの球で出ました」。腹背筋にランニングと自重による体幹強化を重ね、形になってきた。斉藤を指導する元阪神の谷村智啓コーチ(73)は「教えてるんは基本、いかにバランス良く投げるか。1年前は50、60点。でも、今日は80点。どこまで伸びるか、わからんよ」と期待を寄せる。中日中田アマスカウト・アドバイザーは「パッと見ただけで、いい投手とわかる。バランス、指先の感覚。プロ志望を出せば、当然指名されるでしょう」と太鼓判を押した。

互いに勝ち進めば、19日の4回戦で神戸国際大付と対戦する。「調子は徐々に上がってきてます」という斉藤が、夏の兵庫に旋風を巻き起こす。【加藤裕一】

◆斉藤汰直(さいとう・たいち)2003年(平15)12月7日、兵庫・宝塚市生まれ。野球は小浜小1年からで、兵庫川西タイガースなどで投手としてプレー。宝塚中で軟式野球部。高校は2年夏に背番号12。同秋から1番で県大会3回戦で育英に敗退。憧れの投手はソフトバンク千賀。182センチ、86キロ。右投げ右打ち。