<高校野球千葉大会:専大松戸1ー0東海大市原望洋◇17日◇5回戦◇ZOZOマリンスタジアム

専大松戸のプロ注目右腕・深沢鳳介投手(3年)が息詰まる投手戦を制した。

限界だった。1-0で迎えた9回2死三塁。打球が二塁手から一塁手に渡った瞬間を見届けると、ガッツポーズをしながらマウンド上に倒れ込んだ。この日の球場は気温30度を超える真夏日。暑さでつった足の痛みをこらえながら、エースとして最後まで投げきった。炎天下での完封勝利。意地が、最後までマウンドに立たせた。持丸修一監督(73)は「今日は深沢に尽きる」と目を細めた。

力のある直球と2種類のスライダーを軸に、5安打を許しながら9三振を奪った。真っすぐは自己最速を1キロ更新する144キロを記録。球速帯の異なるスライダーは内外角に決めるだけでなく、ゾーンの奥行きも使えるようになり、春からの進化も見せた。相手に的を絞らせず、1球1球丁寧に投げ込んだ。

憧れの先輩に1歩近づいた。中学、高校で2学年上だったロッテ横山を追いかけ、専大松戸に進学。フォームをまねているうちに現在のサイドハンドになった。「横山さんを超える投手になりたい」。憧れの選手の背中を追う力が、成長を支える土台になっている。

今春のセンバツでは中京大中京に3安打2失点で敗戦。試合後は人目もはばからず号泣した。「1球の重みを感じた。この悔しさは甲子園で晴らすしかない」と力を込める。今度こそ甲子園で勝利するために-。深沢の夏は終わらない。【保坂淑子】