<高校野球神奈川大会:白山8-3川崎総合科学>◇18日◇3回戦◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか

白山の部員83人をまとめる中村鯨佑(けいすけ)主将(3年)には、恩返ししたい2人の監督がいる。

昨年3月まで同校を7年間指揮した村田浩明監督(35)。9年前まで部員1ケタ、グラウンドに雑草が生い茂っていた弱小校を、昨秋県大会で8強入りするまで引き上げてくれた。「(勝利に)公立も私立も関係ない」。入学前の練習見学会でかけられたその言葉で、白山入りを決め、甲子園を目標に定めた。

そして、現在チームを率いる尾形裕昭監督(30)。打撃技術だけでなく、主将としての在り方も教わってきた。一緒に汗を流してきたからこそ「勝って先生を男にしたい」と力を込める。

土台を築いてくれた村田前監督退任時には、チームに動揺があった。だが尾形監督の下で「村田先生に頑張っている姿を見せよう」と気持ちを新たに。コロナで練習が制限された間も、自主練習メニューをナインで共有し合った。信頼関係が深まり、土台の上に、チームという家がしっかりと建った。

村田前監督は現在、横浜を指揮する。ともに勝ち上がれば、決勝でぶつかる強豪校。「勝つことで恩返ししたい」。この日、川崎総合科学を下し、決勝まであと4つ。主将の言葉に曇りはない。【勝部晃多】