福岡大大濠の最速143キロ左腕毛利が、今夏初先発で10三振を奪い、7安打1失点完投でベスト8進出を導いた。春季九州大会2回戦、津久見(大分)戦以来の先発。「久しぶりの先発マウンドで、1回の投球練習の時に足が震え、やばい、緊張してると思った」。センバツ8強経験者でさえ、緊張の立ち上がりだった。その硬さを象徴するように、初回に友納周哉内野手(2年)の先制ソロで援護をもらったものの、その裏に同点に追いつかれた。

だが、プロ注目エースの修正力はさすがだ。相手の直球狙いから3回以降、キレ抜群のチェンジアップを決め球にスライダー、カーブ、ツーシームを多投して翻弄(ほんろう)。流れを引き戻し、1-1の7回、藤田悠太郎内野手(1年)の勝ち越しソロを呼び込んだ。

「ここ(5回戦)から全部投げ切ろうと思った。この試合でしっかり投げられて自信になった」。エースの責任を果たし、夏初先発で初完投。23日の準々決勝、筑陽学園戦へ弾みをつけた。「もう1回甲子園に出たい。あの舞台に立てるよう全力で腕を振っていきたい」。89年以来、同校4度目の夏の聖地へ、全身全霊で投げ込む。【菊川光一】