日本文理は関根学園に延長10回、5-2で勝利。田中晴也投手(2年)が延長10回表1死一塁で左翼線へ勝ち越しの二塁打。投げても146球で完投した。

146球の熱投を、田中は自身のバットで勝利に結びつけた。2-2で迎えた延長10回表1死一塁。初球の外角直球を素直に振り抜き、左翼線への勝ち越し二塁打を打った。「自分が何としても1本打って、みんなの笑顔が見たかった」という願いを乗せた打球は、ラインぎりぎりのインフィールドに飛んだ。

予感はあった。10回の打席に入る前まで4打数無安打。3番打者のバットは沈黙していたが、思考はポジティブだった。ベンチでは主将で4番の渡辺暁仁左翼手(3年)と、こんな会話を交わしていた。「そろそろ自分たちに(安打が)出るだろう」。会話通りに出た1本は貴重な勝ち越し打になった。

関根学園には春の県大会4回戦で5-6の逆転サヨナラ負け。マウンドで悔しさを経験した田中は「毎日、忘れずに練習してきた」。そんな悔しさを晴らす機会は夏の準々決勝で実現した。マウンドでは9回を投げて8安打2失点。「1球、1球に気持ちを込めた」と言う。鈴木崇監督(40)が「失点は3、4点。得点は5点以上」と描いていた青写真通りの展開。2失点投球と、勝ち越し打の田中は投打で奮闘した。「バットとボールで勝利に導けたのはうれしい」と試合後は、ちょっぴり笑顔を見せていた。【涌井幹雄】