広島大会準決勝で、祇園北が呉を接戦の末に下し、創部39年目で史上初の決勝進出を決めた。5回から登板した祇園北のエース山本優貴投手(3年)が5回2安打無失点と好リリーフをみせ、勝利を呼び込んだ。

エースの粘投が創部初の快進撃を呼び込んだ。祇園北の「1」を背負う山本が、同点の5回からリリーフ登板。9回までの5イニングで得点圏に走者を背負ったが、1点も許さなかった。「ピンチになったら燃える性格なので。逆に『来い』という感じです」。直球は120キロ台中盤ながら切れ味があり、カットボール、カーブなど多彩な変化球で的を絞らせなかった。5回2安打3四死球で無失点。同校初の決勝に導き、「素直にうれしいです。楽しんだ結果だと思います」と笑顔で大量の汗を拭った。

ノーシード公立校の旋風だ。祇園北の野球部員は文武両道で、国公立の大学を目指しているという。勉学と野球を両立させ、甲子園まであと1勝に迫った。恒例の「サ道」が勝利の原動力となっている。チーム関係者と部員の6人程度で、試合後に近所のサウナがある入浴施設に大会前から通っている。6~12分入り、水風呂1分、休憩5~10分を3セット行っているという。交感神経と副交感神経の活動バランスを整える効果があり、「疲労も回復してリラックスもできますし、暑さにも慣れるので」と山本は説明した。

殊勲のエースは、新チームとなった昨秋の10月ごろに内野手から投手に転向。経験の浅さを気持ちでカバーした。同点の6回には1死三塁から決勝打となる右前適時打をマーク。「あんまり覚えてないですけど、思いっきり振った結果でした。勝ったら甲子園。自分たちの野球をして、とにかく楽しみたい」とニヤリ。春夏通じて初の甲子園へ、舞台は整った。【古財稜明】