19年夏の甲子園で優勝した履正社が延長14回の死闘の末にサヨナラ負けを喫した。左腕エースの渡辺純太投手(3年)が14回1死満塁で右越えにサヨナラ打を浴びた。岡田龍生監督(60)は「打てなかった。ここ数年は打って勝ってきた。今日の後半はウチの方がチャンスがあった。1本、出せなかった」と話した。

無死一、二塁で始まるタイブレーク制に突入した延長13回は両者譲らず、1点ずつ取った。決着がついたのは14回だ。履正社は1死満塁と攻め立てたが、後続を断たれたのが痛かった。8回から12回まで毎回安打で出塁したが、決め手を欠いて得点できなかった。

序盤から劣勢に立たされて、苦しい展開だった。興国の左腕先発、田坂祐士投手(3年)の速球に差し込まれ、中盤まで突破口を開けない。つかまえたのは0-3の7回だ。無死二塁で真鍋蒼次朗捕手(3年)が速球をとらえて中越え適時二塁打で反撃。さらに無死満塁の絶好機を迎え、小刻み継投で登板した大江遼也投手(3年)を攻め立てる。押し出し四球と松林克真内野手(3年)の左前適時打で同点に追いついていた。

渡辺は5回途中から救援登板。押し出し死球を与えたが、6回以降は丁寧な投球で興国打線を封じ込め、勝機を待ったが力尽きた。岡田監督は「この大会、渡辺と松林が頑張ってくれた。個々の力がなかった。甲子園は打てないと勝てない。もう1回、打てるチーム作りをしないといけない」と続けた。

履正社は5月の春季大阪大会で興国に1-4で敗れ、夏をノーシードで迎えていた。煮え湯を飲まされた因縁の相手に返り討ちに遭った。夏の公式戦は19年から26連勝(20年独自大会と甲子園交流試合含む)で止まった。【酒井俊作】