甲子園大会は今日28日、準決勝2試合を行う。第1試合では智弁和歌山が近江(滋賀)と、第2試合では智弁学園(奈良)が京都国際と対戦。近畿勢が4強を独占するのは史上初だ。

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近畿勢がベスト4を独占した。長雨に見舞われた大会で、雨天時の練習場確保に苦労した他地域に比べ、自校の練習場を使える近畿勢に「地の利」があった、という見方はある。ただ、全国屈指の強豪攻略を目指してきた近畿勢の力の蓄積が4強独占にあるとみる。

箕島(和歌山)や智弁和歌山、近年では大阪桐蔭。近畿にはどの時代にも甲子園の常勝校がいた。身近なライバルが全国最強校。NO・1のレベルを常に意識し、追いつき追い越せと努力してきた成果を甲子園で発揮したのが近江だろう。

好投手が複数いて、機動力もある。準々決勝で神戸国際大付(兵庫)に9回に追いつかれ、勢いは相手の状況で、一塁走者の走力も生かしてサヨナラ勝ち。大阪桐蔭を倒した自信が、選手の力になっている。

智弁学園は、春は不振に苦しんだという前川君が夏は効果的な2アーチでけん引。悔しさを忘れないのが中心打者だ。1回戦で顔に死球を受けた植垣君も、はつらつとプレーを続けている。今夏にかける気迫が感じられ、チームメートにも好影響を与えている。

智弁和歌山は、初戦の対戦相手の宮崎商がコロナ禍で出場を辞退され、長く実戦から遠ざかった。それでも危なげない戦いぶりはさすがだ。京都国際は実力校の敦賀気比(福井)にサヨナラ勝ちした準々決勝を見ても、粘り強い。2年生エース森下君の攻守のひたむさきが際立つ。

決勝は智弁対決が実現か。近江が滋賀県勢初の頂点に立つか。京都国際の初陣優勝なるか。興味はつきない。(PL学園元監督)