来春センバツに向けて、辛勝発進した。今夏の福島大会で14大会連続甲子園出場を逃した聖光学院が、磐城との初戦屈指の好カードを延長10回の末に制した。

聖光学院は1-1の10回1死三塁から1番安田淳平外野手(2年)が決勝点となる適時二塁打を放つなど、この回3得点を奪った。「技術とかではなく、仲間の思いをつないでいこうと思って、振った結果です」と胸を張った。

序盤は重苦しい展開が続いた。相手エースでサブマリン右腕の緑川優斗投手(2年)の前に9回まで打線は5安打1得点のみ。全27アウト中、17個が飛球によるもの。捉えた鋭い打球もあったが、内外野の正面を突いた。斎藤智也監督(58)は「ファーストゲームはロースコアの接戦で勝ち切ることができたら、選手にとっては成長につながると。生徒らにとっては本当に勉強になる連続でしたね」と振り返った。

投げては先発したエース右腕・佐山未来投手(2年)が、10回を4安打1失点で完投勝ち。キレのある直球に変化球を織り交ぜながら、6回以降は毎回奪三振で12三振を奪った。1-1で迎えた9回には無死二塁とサヨナラ負けのピンチを招いたが、気迫の投球で、ホームは踏ませなかった。逆転した直後の10回は3者連続三振締め。背番号1は初戦突破を決めて、男泣きした。指揮官は「すばらしいですよね。投手が投げ切って、やり切って、試合が終わったら勝っている。安堵(あんど)の涙なんでしょうけどね。攻撃の展開に左右されないで1球1球投げ切るのを体現したと、佐山は1ランク成長したかな」と目を細めた。