日本文理(新潟2位)は星稜(石川1位)に1-3で惜敗した。最速148キロのエース田中晴也投手(2年)は8回を6奪三振で奮投したものの、被安打5の3失点。0-2の6回1死一、三塁では自ら右前適時打を放ったが、及ばなかった。北越(新潟1位)は敦賀気比(福井3位)に2-10、7回コールドと力負け。県勢は姿を消した。

田中投手の言葉がすべてを物語っていた。「取られたくない時に取られ、取りたい時に取れなかった」。2、3点目の失点はともにスクイズだった。0-1の5回1死満塁でスリーバントスクイズを決められた。逆に日本文理は1点を返し1-2とし、なお6回1死満塁のチャンスで遊-二-一の併殺。この回、田中の適時打で生まれた追撃ムードはあっという間に断たれた。相手の5安打を上回る8安打しながらの敗戦だった。

好投手の呼び声が高い星稜エース・マーガード真偉輝(まいき)キアン(2年)との投げ合い。球場に球速掲示はなかったが、直球の威力は16日の1回戦で記録した最速148キロ同様の勢いだった。1本だけ許した長打も悔やまれる失投から。0-0の5回1死一、二塁で先制の左中間適時二塁打を打たれたスライダーは「高めに甘く入った」と言う。「北信越、甲子園で完封できる力をつけたい」と唇をかんだ。

準々決勝敗退でセンバツは絶望的になった。「3番打者としての勝負強さは持ち味」とチーム唯一の適時打を放ち、投打でけん引した田中は言った。「甲子園のチャンスは(来夏の)ラスト1回。チーム全員が同じ方向を見て冬場をすごしたい」。負けを無駄にはしない。【涌井幹雄】