悲願の初優勝を成し遂げた。花巻東(岩手1位)が4年前の決勝で敗れた因縁がある聖光学院(福島1位)を4-1で破り、秋の東北王者に輝いた。

初回に主将の田代旭捕手(2年)の適時二塁打で先制し、5回には佐々木洋監督(46)の長男で高校通算47本塁打の麟太郎内野手(1年)がダメ押しの2点適時二塁打。投げては3投手リレーで逃げ切った。花巻東は東北代表として11月20日開幕の明治神宮大会に初出場する。

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花巻東が歴史を塗り替えた。3番手の工藤翔大投手(2年)が、最後の打者を右飛に打ち取ると、両手で大きくガッツポーズ。捕手の田代らと次々にハイタッチをかわし、雨が降りしきる石巻のマウンドでナインの笑顔が咲いた。田代は「目標にしていたことを達成するのは、こんなにうれしいことなんだと実感しました」。4年前の決勝で初優勝を阻まれた聖光学院に雪辱を果たした。

先制点は初回に田代のバットから生まれた。2死二塁、カウント1-1から雨を切り裂く中越え適時二塁打。「キャプテンですし、ここで打てば試合の流れがよくなると思っていました」。準優勝で甲子園出場を逃した今夏の岩手大会は1、2年生が14人ベンチ入り。そのうち田代ら11人が今大会もメンバーに入った。経験豊富な選手が多く、佐々木監督は「歴史を変えなさいと言い続けています」と、過去のチームには伝えてこなかった言葉を、あえて投げかけてきた。

新チーム始動時から「絶対に明治神宮大会出場」を目標に掲げてきた。優勝したものの、今秋の県大会は4試合で27失点、チーム防御率8・10と課題が残った。今大会前には言いづらいことでも、お互いに意見をぶつけ合うように意識改革。投手陣は変化球の精度見直しなど修正を図り、4試合で7失点、同1・85と大幅に改善した。

11年秋の東北大会で花巻東は4強止まり。しかし、光星学院(青森、現八戸学院光星)が明治神宮大会で優勝。東北のセンバツ出場枠(一般枠)が「3」に増え、12年春に聖地の土を踏んだ。佐々木監督は「東北大会4強で負けたときに、光星学院さんが勝ってくれてセンバツに出たことがあります。恩返しできるように明治神宮大会は優勝を目指してやっていきたいです」。秋の東北王者はまだまだ序章。日本一となり、新たな歴史を刻む。【山田愛斗】