日本高野連が6日、大阪市内で仕事始めを迎えた。昨年12月に就任した宝馨会長(64)が陣頭指揮する体制が本格的に始動。再び新型コロナウイルスが広がるなか、宝会長は「オミクロン株の動向を見極めつつ、当連盟としてやらなければいけないことを着実にやります。できれば有観客の無制限が一番いい」と年頭所感を述べた。3月18日開幕のセンバツを控え、通常開催の可能性を慎重に探る。

「2年前はせっかく出場校が決まったのに3月11日くらい、直前に中止になりました。夏の交流試合でなんとか1試合だけできて多少の救いにはなりましたが、そういう事態にならないようにしないといけない」

20年センバツは史上初めて苦渋の中止になった。1月28日には出場校の選考委員会が開かれる。コロナ禍の先行きは不透明だが、社会状況などをみながら、運営に最善を尽くす構えだ。

また、今年は継続試合の導入について、引き続き検討していく。降雨時、後日などに試合を続行するもので、さまざまな試合状況を想定したルール作りを含めて模索中だという。「いい条件で、両軍とも同じ条件で、できれば9回までやって決着に持っていきたい」と説明した。宝会長は京大野球部監督のほか、審判員も務め、野球の現場経験が豊富だ。その一方で、京大大学院総合生存学館の教授として、水文学を専門とする。多角的な視点から、継続試合の意義を説明した。

「気候変動問題、私も専門が近い。地球上の水循環の学問で、豪雨、洪水災害が専門です。去年の夏も珍しいパターンだなと。8月は晴れる日が多いが、7日も雨で順延した。そういうことが今年も起こる可能性がある。頻度が高まる可能性がある。そういうことにも備えたい。審判の方も大変です。決断がね。継続試合があれば、グラウンド状態がいい状態でも打ち切ることができる。これから雨が降ることが分かっていると。最近の気象予測の精度も高まっている。技術革新もある。気象予測も含めてジャッジメントできる」

西宮北(兵庫)では投手や捕手としてプレーした。「私が3年の時から金属バットになったんです。それまでは木製でした」。日本高野連は反発力の低い金属バットへの見直しを進め、2024年度からの完全導入を目指す。「反発がよすぎれば、ピッチャーライナーをよけられない。金属バットの材質が劣化すると割れて飛んで、顔に当たったりするのがないとも限らない。思わぬケガ人がでることがないように、我々は考えたい」。球児のため、改善を図る。

宝会長には心にとめる言葉がある。「佐伯達夫会長の言葉ですが」と明かし「『無心の球』を『無我の境地』で追い続けることが高校野球の生命だと。チームが勝つために工夫を凝らして投げるし、打つ、しっかり守るわけですよね。自分がエエ格好したいから、そういうプレーをするんじゃなくて、チームが勝つために、みんなが勝つために、やるんだと。高校野球の原点をいま1度、リコールしてやろうと」と話す。肌を刺す寒さのなか、球音が聞こえてきた。【酒井俊作】