札幌地区は北星学園大付が北広島を2-1で下し初の春全道に王手をかけた。5回2死一塁で斎藤尋斗遊撃手(3年)が左越えに先制の決勝2ラン。公式戦3本目の1発で勝利をたぐり寄せた。投げては7回途中からリリーフ登板した斉藤主真(かずま)投手(3年)が6奪三振無失点と“ダブルサイトウ”の活躍が光った。創部から今年で60周年。節目の年の全道切符をかけ、次の代表決定戦で立命館慶祥と対戦する。

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斎藤がひと振りで均衡を破った。0-0で迎えた5回2死一塁。初球を振り抜いた。「真っすぐで絶対(ストライクを)取りに来るだろうと。確実にミートする練習をしてきたので初球からいっても絶対に(芯を)はずさないという自信があった」。内角寄り低めの直球をとらえた打球は左翼芝生席に着弾。公式戦3本目となる高校通算8号は、冬場の週6回のジム通いや1日5度のプロテイン摂取で7キロ体重を増やすなどしてきた努力の成果でもある。

甲子園経験者の助言も生かした。仙台大でプレーする兄優斗(19)は北照で2年生だった19年夏に3番左翼で聖地を経験。家族が撮影した、3安打した10日札幌新川戦の動画を見た兄に「アウトコースの球を顔で追い過ぎじゃないか」とアドバイスされた。この日「首を引くように意識して」修正し「結果が出た」と笑った。2つ下の弟聖斗は今春埼玉の名門花咲徳栄に入学。兄弟から刺激を受けながら寮生活を送っている。

斎藤の活躍に背番号1の斉藤も奮起した。出番は7回途中だった。先発した土居恵樹投手(3年)が1点を失い、なお2死二塁のピンチで登場。「先発の土居が試合をつくってくれていたので投げやすかった。自信を持って投げることができた」。7番小山内を右飛に抑え切り抜けた。直球主体で押す投球で、8回には3者連続三振。「自分らしい投球ができた」と胸を張った。

沼山健吾監督(39)は「選手たちが本当に我慢強く戦ってくれた。最後の最後で勝ちきるチームを目指している。次も1つ1つ、1球1球」と見据えた。チームは62年の創部から今年で60周年。春はまだ全道出場の経験がない。斎藤は「全道の雰囲気は違うと思うので経験を積みたい。結束力を大切にして勝ってきたので、夏につなげられるように」と気合を入れた。【山崎純一】