今春センバツに出場した花巻東が、4大会連続10度目の優勝を飾った。昨春と同一カードとなった盛岡大付との決勝を21-2で完勝。1年前の15-0を超える得点差で宿敵に打ち勝ち、夏の第1シードを獲得した。2番渡辺陸外野手(3年)が、逆方向への2打席連続本塁打含む5打数2安打5打点2犠打と躍動。高校通算は20号まで伸ばした。打線は19安打と爆発し、第1代表として臨む東北大会(6月7日開幕、福島)に弾みをつけた。

花巻東が打ちまくって頂点に立った。その強力打線を象徴する2番渡辺が、自身初の2打席連発。4-0の4回2死走者なしではカウント1-1から外角直球を左越えソロ、8-0の5回2死一、二塁ではカウント3-1から外角直球を左越え3ラン。「風のおかげで入ったのが大きいですが、びっくりしています」と笑顔で振り返った。

1番宮沢圭汰内野手(3年)が出塁し、続く渡辺のチャンスメークで高校通算67本塁打の3番佐々木麟太郎内野手(2年)、同48本塁打の4番田代旭捕手(3年)が得点を奪っていくのが強さの源だ。初回に宮沢が四球を選ぶと、犠打で1死二塁と好機を広げ、佐々木麟の内野安打で1死一、三塁とし、田代の一ゴロの間に先制。6回は熊谷陸内野手(2年)、宮沢の連打で無死一、二塁。再び渡辺が犠打を決め、佐々木麟の2点適時打を呼び込んだ。

市和歌山に4-5で惜敗した今春のセンバツ1回戦で強行出場した。大会直前の3月上旬に練習で左側の第一肋骨(ろっこつ)を骨折。「痛みは多少あったが、プレーに支障がない」と5打数2安打と気を吐いた。今大会は14打数5安打で打率3割5分7厘、7打点と活躍。佐々木洋監督(46)も「普通に中軸を打ってもいいかなと思っていて、一番頼りにしているバッターです」と絶賛する。

花巻東OBの大谷翔平投手(27)の打撃フォームを参考にしている。渡辺は「タイプは違うのですが」と前置きしながら、この日は大谷のように逆方向へ1発。同じくOBのブルージェイズ菊池雄星投手(30)の活躍を含めて「自分たちも頑張らなければ」と刺激を受けている。東北大会では「センバツで負けた悔しさを1戦1戦ぶつけたいと思います」。福島の地でも強力打線の火付け役になる。【山田愛斗】

◆花巻東・田代旭主将(3年、東北大会に向けて)「とにかく目の前の試合に勝つことを意識して頑張りたい。優勝を狙っているが、センバツでは負けてしまったので、挑戦者の気持ちを持って臨んでいきたい」

◆盛岡大付・中沢舟汰主将(3年、花巻東に大敗し)「『打撃戦に持ち込もう』『打ち勝とう』と話していたが、自分たちのバッティングができなかった。夏の決勝でリベンジしたい」