秋田商がノースアジア大明桜を6-4で下し、12年ぶりに秋田「春の陣」を制した。2点リードの8回から2番手で登板した最速140キロ右腕・菅原凜(3年)が、2回を無安打無失点、3三振。マウンド上で気迫を前面に出し、昨春王者をねじ伏せた。今大会準々決勝で左手首に受けた死球の影響で、準決勝以降はクローザーとなり、チームを優勝へ導き、胴上げ投手となった。

9回2死1塁。点差は2点。12年ぶりの春優勝まで、アウト1つ。菅原は変化球2球で追い込み、右打者の外角へ逃げるスライダーで最後の打者を3球三振。「ストライクからボールにうまく制球できた」と納得の1球だった。6-4の8回から2番手で登板し、2回を無安打無失点。28球で決勝戦を締めくくり、「チームの力になれたと思います」と汗をぬぐった。

気迫全開だった。最終回、1球1球に魂を込めた。球質の重い真っすぐを軸に、スライダーを中心とした変化球で緩急をつける。1四球を与えるも、3奪三振の“圧投”で、背番号「1」にふさわしい投球だった。残り2イニングを託した太田直監督(43)は「エースとしての役割を果たしてくれた」と評価した。

ケガを負いながらも、全力投球を貫いた。能代松陽との準々決勝で左手首に死球を受け、打席には立てないと判断し、準決勝から抑えに回った。「先発できない悔しい気持ちもありましたけど、チームのために全力で腕を振っていこうと思いました」。9回には自己最速タイの140キロを計測。先発し7回4失点と試合をつくった松橋星羅投手(2年)の力投に応えたい、先輩としてのプライドがあった。菅原は「(松橋の)気持ちを受け取り、自分もやらないといけない」と口にした。

夏本番を前に、みちのく各地の強豪校が集まる春季東北大会(6月7日開幕、福島)に挑む。太田監督は「真っ向勝負。1歩も引かないで戦いたい」と語気を強めた。攻める姿勢を貫く秋商(あきしょう)野球で東北王者の座を狙う。【佐藤究】