北北海道・空知地区で栗山・月形・深川東・夕張の連合チームが美唄尚栄を5-0で下し、今夏の連合チーム初勝利を挙げた。2回1死一、三塁で、4年ぶりに夏の大会に復帰した深川東の木村隼人左翼手(1年)が、2ストライクからバント安打を決め先制。この回一挙4点を挙げ、流れを引き寄せた。18年夏を最後に部員が減り、大会に出場していなかった同高は今春、1、2年生3人で同好会として活動再開。連合チームの勝利に貢献した。

空知連合の4校13人が力を合わせ1勝をもぎとった。春は栗山・深川東・夕張の3校連合で臨み、初戦で滝川工に0-13と大敗だった。今夏、新たに月形も加え4校で1勝。指揮を執った夕張・藤井大地監督(26)は「しっかり守って攻撃の時間を長くする。春の反省をみんなが生かしてくれた」とねぎらった。

大きな1勝を引き寄せたのは、4年ぶりに夏の大会に戻ってきた深川東の新人だ。真っ白い“無印”ヘルメットをかぶった木村は2回1死一、三塁、1ストライクからスクイズを失敗した。「やっちゃった」が、あきらめない。2ストライクから再び高めのボールに食らい付き、三塁前に転がした。自身も一塁で生きる絶妙なバント安打。BIGBOSS野球のような意表をつく先制打で勢いづき、この回打者一巡で4点を奪い、流れを引き寄せた。

“無印”には、わけがある。深川東は部員減で19~21年は実質的な活動ができなかった。昨年は道高野連加盟を取りやめ部から同好会に“降格”。石川尚人監督(54)が「このままではいけない」と2月に矢橋健外野手(2年)を勧誘し今春、木村と坂東蓮外野手(1年)を加え連合参戦にこぎつけたまでは良かった。

ユニホームは4年前に使っていたものをクリーニングしてそろえたが、ヘルメットは劣化が激しく買い替えが必要だった。「同好会」の予算は年間5000円と少なく、学校に特別予算を割いてもらい3つ購入も、資金不足でマークはつけられなかった。そんな状況にも木村は「とにかく勝てたことがうれしい。次も勝つ」と笑顔。1年間しっかり活動を続けると部再昇格の道が開ける。少しぐらい格好悪くてもいい。真っさらな気持ちで、夏を満喫する。【永野高輔】

◆道内の連合チーム 「統廃合による大会参加の特別処置」が97年5月に日本高野連で承認され、04年に砂川北・砂川(旧砂川南)が道内初の連合チームをつくった。05年北北海道大会に進出。12年に「部員8人以下の学校同士」の連合チームが認められ、同年室蘭地区の登別大谷・穂別など4チームが出場。昨年は10チーム出場で、十勝地区の鹿追・士幌・大樹・本別だけが初戦を突破した。12年以降の南北大会進出校はない。