第104回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)を目指す南北北海道大会の組み合わせが7日、決まった。

南大会(16日開幕、札幌円山)では、4大会連続出場の知内が札幌龍谷学園と対戦する。6月に父を亡くした主将の高橋匠三塁手(3年)は、悲しみを乗り越え、父と約束した聖地を目指す。

   ◇   ◇   ◇

天国へ旅立った父に、聖地でプレーする姿を送り届ける。高橋は「父の分までという気持ち。周りはこのタイミングで父が亡くなることを心配しているけど、自分はそうは思わない。必ず父が力になってくれる」と強い口調で話した。

約束を果たすまで負けるわけにはいかない。6月2日未明、父司さんが病のため56歳の若さで亡くなった。昨年12月に病気が発覚してから、わずか6カ月だった。5月下旬の全道大会終了後、父が入院する江差町の病院に見舞いに出向いた。「甲子園に行くから見ていてくれ」。父は「応援しているからな。頑張れよ」と優しく笑ったという。最期の時は知内の寮にいたため立ち会えなかった。見舞いでの10分間の会話が、最後の思い出として胸に、強く刻まれた。

「言葉数は少なかったけれども、応援してくれているのは知っていた」。小学生時代は投手だった高橋のために庭にマウンドをつくり、投球練習につきあってくれた。実家が美容室のため、閉店後には、店の大きな鏡の前で、砂の入った球を上げてもらい、打撃練習に励んだ。中学になってからも、大きな鏡の前でフォームをチェックし、アドバイスを受けてきた。

父の死後、一昨年秋に亡くなった祖父忠則さんと司さんの戒名が入ったお守りをユニホームのポケットに忍ばせている。困ったときは「気持ちが落ち着く」と、そっと触れることにしている。「自分に厳しく他人に優しい。人とのつながりを大事にする人でした。主将としてそういう人になれたら」。強い気持ちでチームをまとめ、夢の舞台へとけん引する。【永野高輔】