部員22人の公立校麻生が、13年夏準優勝の実力校、平塚学園を苦しめた。

先発の「背番号5」佐藤颯真投手(3年)が6回途中2失点。投球の8割でカットボールを使用する投球術で、わずか2安打に抑えた。高校入学後に投手を始めた右腕は「8強入りを目指していただけに悔しいが、低めで勝負すれば強豪相手でも抑えられるんだと実感した」と振り返った。

決して順調な1年ではなかった。昨秋、今春と地区予選で敗退。県大会出場はかなわなかった。今春の地区予選に至っては、法政二に0-19。桐蔭学園に1-30と大敗を喫していた。

このままじゃダメだ。主将を務める佐藤は動いた。変えたのは、技術面以外の部分。「試合でのイニング間の円陣をやってなかった。欠かさず行うようにしました」。この日もナインを集めて一言。「華よりも、華を咲かせる土になれ」。“クサい”言葉にナインは失笑。「試合中に言うと和むんです」。狙い通り、リラックスした守備陣は無失策で切り抜けた。

池田隆監督(56)は「力を十分に発揮してくれたと思います」とたたえた。続けて「過去の先輩たちはいくら怒鳴っても、下を向かずに耐えてきた。その結果、少しずつ力を付けてきたんだと思う」と、OBたちにも感謝を込めた。