南北海道で、3年ぶりの甲子園を狙う北照が札幌創成を4-0で下し、8強に進出した。2年生エース上川貴之が100球で7安打無四球完封。昨秋の公式戦デビューから43イニング自責ゼロで1四球と抜群の安定感だ。

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北見市常呂町生まれの精密機械が、またも落ち着いた投球で、勝利を呼び込んだ。最後の打者を左飛に打ち取ると北照・上川は、ぽんとグラブをたたき息を吐いた。初回にいきなり2死三塁のピンチを招くも、後続を三ゴロで切り抜け「序盤は硬かったが、回を重ねるごとに楽に投げることができた」と淡々と振り返った。

この日の最速は135キロ。球速があるタイプではないが、バッテリーでの地道なスカウティングと、当日の打者の反応をしっかり把握しながら配球することで、無失点を続けてきた。今回は札幌地区代表決定戦の札幌創成-札幌第一の動画をYouTubeで探し出し、先輩の谷口魁捕手と研究。「真っすぐを振ってくるイメージが強かった。最初は変化球主体で」。2回までに3安打浴びると「変化球が頭にあるような反応だったので」と、2巡目以降は直球主体に切り替え、3回以降は走者を許しても三塁を踏ませなかった。

正確無比なコントロールは、幼少期からの遊びがルーツだ。常呂町の祖父宅に遊びに行くと、毎回テーブルを倒し、裏に貼ってある商品説明の5センチ四方のシール目がけ、3メートル程度の距離からゴムボールを当てて遊んでいた。「ずっとそういうことをしていた。あとはキャッチボールから必ず相手の胸を目がけることを意識してやってきた」。小4から中1まではカーリングの選手として活躍するなど、あらゆる方法で指先の細かいタッチを磨いてきた。

これで昨秋7、今春が24、夏は計12イニング自責ゼロ。失点は春の地区代表決定戦の小樽双葉戦での1点、四球は春全道1回戦の白樺学園戦で許した1個だけ。夏はまだ無四球無失点。「次も出番があればチームの流れをよくできるような投球をしたい」。頭と技術をフル稼働させ、3年ぶりの聖地を目指す。【永野高輔】

○北照・上林弘樹監督(43) 他にも投手はいるが、球数が少なかったので上川に最後まで行かせた。上川は2年生ですが、投票で決めたうちのエース。よく投げてくれた。

○6回1死二塁で左越え2ランを放った北照・今枝 代表決定戦から安打が出ず、上林監督から「足を使え」と言われて打席に入った。しっかり重心を下げて振れたのが良かった。