<高校野球石川大会:日本航空石川2-1金沢市工>◇21日◇準々決勝◇石川県立野球場

日本航空石川が、「加賀のドカベン」こと、今秋ドラフト候補の内藤鵬(ほう)内野手(3年)の激走で決勝点を奪い、4強入りを決めた。同点の7回先頭で四球出塁し、犠打で二塁に進塁。6番打者への相手暴投で駆けた。三塁を蹴って生還。100キロの巨体を揺らし、足から滑り込んだ。

高校通算53本塁打の右のスラッガーだが、走塁も手を抜かない。「二塁にいるときから狙っていた。後ろが広い」。ネット裏までのファウルゾーンが広い石川県立野球場の構造もインプット。中村隆監督(38)も「まさか行くとは思わなかった。いい判断」と驚いた。巨漢でも機敏だ。

阪神がリストアップするほか、多くの球団が注目。この日、視察した巨人渡辺スカウトが「飛距離が出る打撃が魅力。守備も送球が安定し、柔らかさがある」と話せば、オリックス小松スカウトも「天性の長打力がある。(7回は)四球も取って、ただ打つだけではない」と高く評価した。

石川大会で通算10本塁打。この日は2打数無安打だったが、かつて星稜・松井秀喜が放った12発も射程圏だ。内藤は「夢のまた夢の方。自分が比べられるとは考えていなかった。いつか超せたらいい」と目を輝かせる。チーム5年ぶりの夏の甲子園まであと2勝。阪神も熱い視線を注ぐ長距離砲が、「ゴジラ超え」で聖地に導く。【酒井俊作】