兄弟対決を制した。昨夏王者の横浜が7回コールドで藤沢翔陵を下し、4強入りした。「4番捕手」の玉城陽希(はるき)主将(3年)は「楽しかったです。弟も頑張っていましたし」と充実した表情だった。

相手チームには、弟がいた。「2番二塁」の玉城巧望(たくみ)内野手(2年)。弟が打席に入る際、兄が落としたマスクを拾って笑顔で渡すシーンもあった。兄は先制の内野ゴロで1打点を稼いだが、無安打。弟は1安打1打点。兄は「自分は1本も(安打を)打てなかった。兄弟対決は弟に軍配かな」と笑った。

父優さん(44)は「横浜が点を取るたびに半分喜べない気持ちもあって…」。複雑な心境の中で、兄弟競演を楽しんだ。「巧望が言ったんです。『最後なんだから兄の方で』と」。横浜側のスタンドで2人を応援した。

弟はチームでも信頼が厚く、2年生ながら副将を務める。試合後は悔しさを見せつつも「横浜と対戦できて、親孝行が出来たと思う」と振り返った。今後は兄のような主将になることが目標だ。「大事なのは堂々とすること。弟はそれが出来ると思う。受け継いで欲しい」とエールを送った兄は、敗れた弟の思いも背負って夏連覇へ挑む。【阿部泰斉】