「背番号14」の名脇役の活躍で、2年連続決勝進出を決めた。昨夏王者の横浜(神奈川)が、16安打11打点の猛攻で立花学園を6回コールドで下した。2安打1打点の8番・鉾丸蒼太内野手(3年)は「大会前から練習していた工夫が生きました」と笑顔で話した。

最高の“いやらしさ”で勝利に貢献した。2回1死一塁の第1打席。ホームベースギリギリに立つと、1球ごとに投手寄り、捕手寄り、と立ち位置を変えた。「投げづらくなると思って」。思惑通り四球を選んだ。6回1死の第4打席では、「練習していたので」と、17年にロッテに在籍したサントスをほうふつとさせる“走り打ち”を披露。三遊間にゴロを転がし、50メートル走6秒2の俊足を生かして内野安打で出塁。相手をぼうぜんとさせた。

ひと味違うプレーには、異色の経歴が関係していた。鉾丸は強豪・横浜では珍しく、一般入試を経て野球部に入部した。同校野球部ではまれなケースで、現部員では唯一の存在。村田浩明監督(36)は「覚悟が違ったんです。本気だと」。6人の体験入部組の中、常に最前列でメモを取りアピールする必死さを買った。

その姿勢は入部後も変わらなかった。自宅に帰っての素振り、壁あてと地道な自主練習を欠かさず、今夏、2桁背番号ながら名門のスタメンを勝ち取った。27日の決勝戦は東海大相模と5年ぶり天王山。「脇役らしく貢献したい」。控えめの言葉とは裏腹に、その目は力強かった。【阿部泰斉】