<高校野球東東京大会:二松学舎大付5-1日体大荏原>◇30日◇決勝◇神宮球場

表情を変えずに、淡々と投げていた日体大荏原(東東京)のエース小金井凌生(りょうせい)投手(3年)が、泣き崩れた。ネクスト・バッタースボックスで試合終了。46年ぶり2度目の優勝には、手が届かなかった。「あと1回勝てば甲子園だった。そこが勝ち切れなくて、悔しかった」。

ピンチを何度も救ってきた。準決勝までは、18回を投げてわずか1失点。決勝も4回2死一、二塁から2番手として登板。二松学舎大付の1番・親富祖凪人外野手(3年)を135キロ直球で投ゴロに抑えた。

“最強の敗者”となった。昨秋の都大会1回戦で国学院久我山に敗れ、今春は準々決勝で関東第一に負けた。そして夏は、二松学舎大付。3大会連続で相手が優勝。言い換えれば、同世代の東京の優勝校すべてを経験した。敗戦の度に、成長してきた。冬に体重を16キロ増やし、今春からはブルペン投球でも打者がいることを想定して練習。持ち味の制球力を磨いてきた。3種類のスライダーを操り「スライダーで三振を狙って取れることはできた」と手応えもあった。大学進学し、野球を続ける予定。この敗戦も、糧になったと思える日がきっとくる。【保坂恭子】