第104回全国高校野球選手権に北北海道代表として出場する旭川大高が1日、関西入りした。北北海道大会旭川地区予選中に交通事故に遭い負傷した西田冬真外野手(3年)も、甲子園登録メンバーの1人として、大阪府内の宿舎まで移動。聖地での戦いに向け「一生懸命サポートして、監督に1勝という結果を届けたい」と意気込んだ。

地区初戦突破翌日の7月2日、旭川市内の用具店で革手袋を購入した帰り道だった。横断歩道の信号は青。安全確認して渡り始めたところ、曲がってきた左折車両に跳ねられた。中央分離帯まで「7、8メートルぐらい飛んでいた」。自動車のドライバーが警察に連絡。西田自身は「自転車も動いたし自分も歩けたのでそのまま帰宅した」。甲子園を目指しスタートしたばかり。大ごとにしたくなかった。

帰宅後、痛みが増したため両親に相談。病院で診察を受けると、仙骨の剥離骨折で、全治3週間の診断だった。「病院の人は『それだけ飛んでいて、このケガで済んだのは奇跡的だ』と言われた」。背負っていた野球用のリュックと、とっさの受け身で頭部への衝撃を回避。ケガは最小限に食い止められたが以降、北大会決勝まで、完全復帰することは、できなかった。

それでも、端場雅治監督(53)は甲子園メンバーから外さなかった。「18人いるけど試合に出ない選手もやることがある。何も知らない選手がベンチにいるより分かっている選手がいた方がいい」。甲子園は部長で1回、監督として7回経験。聖地では北海道より試合の進行速度が早まる。北大会中、イニング間の外野陣とのキャッチボールや、ベンチからの的確な声かけで、3年ぶりの甲子園出場に尽力した西田の迅速な対応を、見ていた。

まだ100%の状態ではないが、徐々に練習もこなせるようになった。「1回は終わったと思った。試合に出られる可能性は低いと思うけど、みんなのおかげで甲子園に行ける。少しでも役に立てたら」。硬式野球は甲子園でひと区切りつける。最後の夏、背番号13が、目いっぱい仲間を支え、勝利を引き寄せる。【永野高輔】

【一覧】大阪桐蔭など甲子園出場49校出そろう 初出場は4校 8月6日開幕/学校メモ付き