愛工大名電の3番手、山田空暉(てんき)内野手(3年)が超スローボールを披露した。

9回2死から3番打者への初球、極端に腕の振りを緩めて、ふわりと投球を浮かせた。球速表示は出なかった。ストライクとなり場内から大きな拍手をもらった。「スローボールは練習試合から投げていて、打者が打ち気の時に投げています」。

同点の8回から救援して延長10回まで2安打無失点。サヨナラ勝ちを導いた。最速141キロとの緩急差に、サイドスローも交えるなど変幻自在の投球。倉野光生監督(62)は「山田は楽しんでいましたね。本来の力を存分に出し切った。ほめてやりたい投球でした」と目を細めた。

1回戦に続いて「4番一塁」で出場した主砲兼リリーフの働きも光った。

 

◆愛工大名電のサヨナラ勝ち 81年夏3回戦の北陽戦で中村稔(元日本ハム)が高木宣宏(元広島)から12回裏にサヨナラのソロ本塁打を放ち、2-1で勝って以来、春夏を通じ41年ぶり2度目。同校が夏の甲子園で2勝したのも、この年以来になる。