今夏甲子園出場の能代松陽が、優勝した昨秋に続いて2年連続4強入りを果たした。横手に8-7で辛勝。安打数は自軍の11本に対して15本を浴びる展開も、5番佐々木陸仁(りくと)外野手(2年)が、逆転打を含む3安打3打点と勝負強さを発揮した。勝てば東北大会出場が決まる23日の準決勝では、ノースアジア大明桜と対戦する。

佐々木陸が思いやりの一打で試合をひっくり返した。5回、1点差に迫り、なおも2死満塁。カウント1-1からの3球目、外寄りの直球を左前に流し打ち。逆転の2点適時打を決めた。自身の前を打つ4番斎藤舜介内野手(2年)が打撃不振。森岡大智投手(2年)も4回までに3失点と苦しみ「自分が助けてあげようと思って打ちました」。3点リードの9回にも中前適時打を放った。

準々決勝のスタメン9人のうち7人が、甲子園でベンチ入りした。しかし、佐々木陸はメンバー外。1カ月前はスタンドでメガホンをたたいて応援していた。「甲子園に行ってくれて、すごくうれしかったが、悔しさの方が大きかった。自分の代では甲子園メンバーを追い越す気持ちで練習してきました」。全体練習後、聖地で2安打した大高有生主将(2年)とペアでティー打撃に励むのが日課だという。外回りするスイングの癖を大高のアドバイスを受けながら修正。この日の3安打につなげた。

3回戦で今春県王者の秋田商に快勝し、気が抜けた部分もあった。試合前に大高主将が「今日負けたら終わりなので、全力を尽くそう」とナインを鼓舞。だが、守備で声かけを怠るなど自滅する場面も目立ち、9回には連続四球を起点に最大5点差が1点差に。佐々木陸は「前回の秋田商に勝ったことで気持ちが浮いていた」。工藤明監督(46)も「厳しいですね。全く操縦不能。1人1人が全力を尽くさないで終わった感じです」と険しかった。明桜との準決勝は全力でぶつかるだけだ。【山田愛斗】