大阪桐蔭（近畿・大阪）が史上初の2年連続優勝を飾った。5点ビハインドをはね返して広陵（中国・広島）を下した。
西谷浩一監督（53）は「守りのミスなど、新チームの未熟なところが出ましたね。広陵さんに気持ちで押されていた。完全な負けゲームでしたが、粘り強く戦えました。勝ち切れたことは大きな財産だと思います」と振り返った。
サッカーW杯で日本列島が歓喜に沸いた前夜。高校球界の名将も例外ではなく、宿舎ホテルでテレビ観戦した。押されっぱなしの前半から、巧みな選手交代で逆転に成功した日本代表。決勝戦を前にコーチらと「ベンチにいる選手がいい準備をしてほしいね」という会話をしたという。
「（サッカーは）後半から出た選手が活躍した。苦しい中で、ああいう選手がいるのはすごい。競技は違うけど、野球もそういうことが大事。今日はレギュラー2人を先発から外していたので」と森保ジャパンと自校の状況を重ねた。
日本代表と同じくらい苦しい展開だった。「総力戦」と覚悟した決勝戦。先発はエース前田悠伍投手（2年）ではなく、南恒誠投手（2年）。南恒は制球に苦しみ、2回には2者連続の適時失策などで3点を先制された。失策はともにレギュラー以外の選手。4回には2番手の南陽人（1年）が、注目スラッガー真鍋慧（けいた）内野手（2年）に2ランを浴びて0－5と劣勢を強いられた。
ただ、5回に流れを一変させた。太陽の光や、変則的な風により、相手の左翼手がことごとく飛球への目測を誤り、長打になった。「この球場は難しい。でも、そこにうまく乗って行けた」と監督。この隙を逃さずたたみかけ、南川幸輝捕手（2年）の右前打で1点差。押し出し四球で追いついた。続く6回、山田太成外野手（2年）の投前安打で勝ち越した。
2日前の準決勝で161球完投していたエース前田は展開を見ながらの起用方針だったが、点差が詰まり始めると、自らブルペンへ。体の状態を確認していた西谷監督もGOサインを出した。6回から4番手で登板し、残り4回を無失点に抑えた。主将でもある左腕は「しんどい展開でしたが、振り出しからスタートという気持ちで1人1人に全力で投げ込めました。目標だった秋の日本一を達成できた。冬に1からつくり直して、もう1段階上がっていきたい」と充実の秋を振り返った。
