聖地でも「光」輝く。県立校の光(山口)が、初のセンバツ出場を勝ち取った。昨秋の中国大会で準優勝したオール地元出身チーム。この日は北海道への修学旅行最終日で、2年生の野球部員は他の生徒よりも一足早く帰校した。早朝5時起床とバタバタの1日だったが、甲子園出場の吉報を受け取った。

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青春の思い出、修学旅行が忘れられないものになった。光の2年生野球部は、3泊4日にわたる北海道・富良野市へのスキー研修を経て、この日帰校。起床は早朝5時だ。センバツ出場校の発表に間に合うよう、他の生徒よりも一足早く帰路についた。ナインの早起きは報われる。午後4時08分に吉報が届いた。

エースで主将の升田早人(2年)は「朝の6時にホテル出発でした。報われて良かったです」と笑みを浮かべた。昨秋の中国大会で準優勝し、春の甲子園は初出場だ。「泥臭く全員野球で、必ず1勝を挙げたい」。甲子園出場は93、94年の夏以来3度目。過去2度は、いずれも1回戦で敗退している。悲願の聖地1勝への挑戦になる。

マネジャー7人を含む野球部34人は、全員が山口県出身。地元で生まれ、鍛えられた県立のダークホースだ。宮秋孝史監督(59)は「このチームは“地産地翔”です。地元の子たちが翔け回っている」と表現した。中学時代、硬式球でプレーしていた選手は4人だけ。全員が自宅から登校しており、終電は午後9時台と長い練習時間は取れない。それでも中国大会は創志学園(岡山)、高川学園(山口)と、私立の強豪校に粘り勝ちした。最速141キロ右腕の升田は「僕たちは失うものが何もない。部員は少ないけど、向かっていく気持ちを忘れず」と下克上を約束した。

慣れないスキー研修だったが、筋肉痛を発症した部員はいなかった。日頃から体の隅々まで鍛えている証拠だ。升田は「センバツ前にスキーができてよかったです。バランスや体幹を鍛えることができました」とポジティブにとらえた。聖地で「光」輝くために、1分1秒も無駄にしない。【只松憲】

◆光 1936年(昭11)に「山口県立室積高等女学校」として創立された県立校。統合や改称を経て20年から現校名。普通科、総合学科があり、生徒数は632人(女子366人)。野球部は46年(昭21)に創部で、部員35人(マネジャー7人)。甲子園出場は93、94年の夏以来3度目。過去2度はいずれも1回戦で敗退。春は初。主な卒業生は元マラソン選手の国近友昭、元アルビレックス新潟の末岡龍二ら。山口県光市光井6の10の1。村上浩昭校長。

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