花巻東(岩手)が初の決勝進出で、東京ドーム行きを決めた。延長10回タイブレークの末、履正社(大阪)に2-1でサヨナラ勝ちを収めた。佐々木秋羽(しゅう)内野手(2年)が、3安打で勝利に貢献。父は同校男子野球部の洋監督(47)、兄は同部の麟太郎主将(3年)と野球一家で育った好打者が、快音を響かせた。決勝は4月2日(東京ドーム)に昨秋のユース大会決勝で敗れた神戸弘陵(兵庫)と対戦。リベンジを果たし、今度こそ日本一に輝く。

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佐々木秋の執念が、東京ドーム切符を呼び込んだ。「今日は1、2打席目に当たっていて、調子は良かったので、回ってこいと思いました」。同点の延長10回1死満塁。カウント1-1から99キロのボールを捉えると、打球は相手投手の股下を抜き、中前へ。記録は投失となったものの、サヨナラ勝ちを演出した。

「手足に力が入らないぐらい緊迫した状況で、その前までで自分の力を出し切っていて、どうしようかなと思っていました。それでいい感じに力が抜けたのか、当たりは良くなかったですが、たまたま抜けてくれて、野球の神様が見てくれたのかなと思いました」

初回に左前打を放ち、3回にも左前へ運んで先制点の起点になった。8回には三塁へバント安打。今大会初の3安打で通算14打数6安打1打点とした。

麟太郎から金言を授かった。前日29日の準々決勝・折尾愛真(福岡)戦をネット中継で見守った兄が、その試合後に電話をかけてきたという。苦手の左腕に対し、体が開かないように意識することや気持ちの面でアドバイスを受けた。「本当にヒットが打てて、兄のアドバイスは的確で、やっぱりすごいなと」。この日の3安打につなげた。

決勝の舞台は東京ドームだ。「イチローさんの引退試合を見に行きました」。花巻東OB菊池雄星投手のメジャーデビュー戦でもあった、19年3月21日のマリナーズ-アスレチックス戦を観戦した場所で、今度は自分がプレーする。「信じられないというか、頑張って良かったですし、東京ドームは兄も父も試合をしたことがない球場なので、自分が歴史をつくろうと思います」と力を込めた。

決勝は昨秋と同一カードとなった。「ユース大会では神戸弘陵さんに負けているので、次は絶対に勝ちたいです」。東北勢初優勝まで、あと1勝。男子よりも先に「岩手から日本一」を実現させる。【山田愛斗】

 

○…エース関口瑞生投手(3年)が力投した。最速113キロの直球とカーブを軸に緩急をつけながら9回5安打1失点。28日の3回戦から3連投となったが「去年の先輩、1期生や家族、友だちとかを東京ドームに連れて行くという気持ちでした」と安定した投球でゲームメークした。決勝に向けては「神戸弘陵さんにユース大会決勝でも負けているので、強気で戦っていきたいです」と意気込んだ。

 

花巻東・三鬼賢常監督(61、決勝進出を決めて)「ヒットは出てチャンスをつくったけど、最後の1本が出なかった。その辺がこれからの課題だが、よくやった。(昨秋のユース大会に続いて)2大会連続で決勝に行けて、力があるのかな? と思いますが、それ以上に子どもたちの勝ちたいという気持ちが強かったのかなと思います」