花巻東(岩手)のプロ注目スラッガー、佐々木麟太郎内野手(3年)が、自身の高校歴代最多記録を更新する通算130号を放った。

県大会準決勝・盛岡四戦に「3番一塁」で先発。初戦の2回戦、準々決勝と背中の痛みで欠場も、この試合から復帰した。3-0の2回1死一、二塁。3球目の外角チェンジアップを捉え、推定飛距離130メートルの3ランをバックスクリーンに運んだ。今季公式戦1号に「しっかり対応できた」とうなずいた。

打球の行方を見つめ、佐々木麟はしばらく立ち止まった。スタンドの観客もどよめく確信弾。ゆっくり歩き出し、淡々とダイヤモンドを1周した。新球場きたぎんボールパークでは自身1号、公式戦では昨年9月以来となる1発。佐々木洋監督(47)は「体にうまく巻き付けながら打ったと思う」と評価した。一方、当の本人は先制適時打を含む3打数2安打4打点1四球で勝利に貢献も「本調子ではないのは明らか」と冷静に自己分析した。

ぶっつけ本番だった。沖縄遠征中の13日に背中の違和感を訴えたといい、「筋の断裂だと思う」(佐々木監督)と、ここ2週間は打撃練習を回避してきた。この日の朝も病院で診察を受け、医者からはゴーサインが出たが「出発前までスタメンで使うか使わないか悩んでいた」と指揮官。佐々木麟は朝練習で10分ほどバットを振っただけで準決勝を迎えた。「怖さがないわけじゃなかったが、それよりもチームが勝つことが第一だった」と強調した。

春5連覇をかけて今日28日の決勝で一関学院と激突する。チーム思いの主砲は自らのバットで花巻東を王者へと押し上げる。【山田愛斗】