“生産性重視”の開成打線が2度も爆発した。今春東京大会のシード校を相手に13安打10得点で7回コールド勝ち。青木秀憲監督(52)は「守備のイニングを減らしたいので、コールド勝ちは常に狙ってはいますが…。正直、そこまで、できるとは」と目を丸くして喜んだ。

1度目の爆発は4回。1番国分星翔外野手(3年)の安打と二盗から1死三塁とし、そこからクリーンアップの3連続適時打で3点。2度目の爆発は7回だ。4連打を含む7安打に重盗を含む5盗塁を重ね、一挙7得点で試合を決めた。4回に適時打を放った主将の徳澄祐大捕手(3年)は「初球から振っていくチームカラーが出せました」と、怒濤(どとう)の攻撃に胸を張った。

ビッグイニングは、日ごろの集中力のたまものかもしれない。チーム練習は週1度、約75メートル四方の人工芝グラウンドしか使えない。課題に応じた自主練習がメインだ。徳澄は下半身中心に鍛え、また主将として「選手とコミュニケーション取ってます」。東大合格者数全国トップの同校。徳澄も「いろんな人を助けたい」と、東大文2から将来は官僚を志望。片道1時間の通学時間も「だらだらしない」と、単語帳や英語のリスニングに充てている。

青木監督は「学業もあるし、彼らに朝から晩まで練習しなさいと言っても無理。体を壊してもいけない」と話す。ならば、生産性の向上だ。少ない労力で、いかに結果を出すか。「練習時間が少ない中、守備を鍛えても、接戦になると強豪校には分が悪い」(徳澄)と、打撃に力を入れるスタイルがはまった。

試合前のノックも選手が打ち、打撃練習の一環にしている。快勝スタートに、徳澄は「100点満点です。次、勝ったら(第1シードの)帝京と当たるかもしれない。何か起こせたら」と真顔で言った。巨大戦力にこそ、一点突破で立ち向かう。ミラクル開成を見せられるか。【古川真弥】